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その女の子は何も言わずペコリと頭を下げてくる。
恥ずかしがり屋なのかな?
俺は反射的に会釈を仕返したが、光はただ立っているだけだった。
光は母にだけ従順で、他人に対して少し冷たい。
そんな奴だから兄としては母に向ける態度を他人にも向けてほしいと常日頃から切に願っている。
「ほら座って」
母に促され俺たちはテーブルを挟んでお客さんの対面に座った。
「いきなりだけどお母さんね、再婚しようと思うの」
「「えっ!?」」
母から放たれた衝撃の言葉に俺たちは驚きの声をあげ、表情を固くした。
「相手は目の前にいる男性よ」
「初めまして。由樹君、光ちゃん。佐々木 裕二といいます。僕自身シングルファザーで、偶然出会った佳子さんと意気投合してね。佳子さんといろいろ語り合ったんだ。それで、由樹君や光ちゃん、そして僕の子供である紗英にとって再婚したほうがいいんじゃないかって」
「子供にとって親は二人いたほうがいいと考えたの。私達は再婚する方向だけど、一番大事なのは子供たちが受け入れてくれるかどうかだから、話し合う機会を作ろうって」
母と裕二さんの表情からどれだけ真剣なのかが見て取れた。
俺は母さんの幸せを優先したいから再婚には別に否定する気はないけど…光がな。
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