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「しょうがないだろ。今回ばかりはやり過ぎ…ってとこさ。メダルの器、新たに生成した巨大生物(グンダリ)。そして紫のコアメダル、それにより引き起こす1人のオーズの暴走。コストがかかり過ぎる。」 「別に今までとスケール大して違くはないと思うんやけど?」 「毎度毎度デカイ事やってたらいずれガタがくる。世界規模でも同じ事だ。まだこの世界を壊されちゃ困るんだよ。分かるだろ? それに、お前の考えてたであろう大爆笑シナリオの結果にしても…需要と供給があってないと思ってね。」 「…。"ある少女の心の隙間にあったモノ。それに惹かれた紫のメダル。その力で彼女は王になり、全てを無に"…。」 フユキは語りだす。あり得た可能性の話を。 「"戦い続ける少女"。それは自分の為でも、誰かの為でもなく、理由もない、ただ自分が「そう思う」、「空っぽの正しさ」の為に。何かを満たされる事なく、何かに辿り着くこともなく、ただ苦しみを募るだけ…」 眼前の(あの方)は遮るでもなく話を黙して聞いている。 「そんな少女を、"全てを無にする(紫のコアメダル)"が救い、その力に従うまま蹂躙する。そしてその力は少女の理解者である男へと牙を剥き、その男も…」 関を切るように話したフユキは一旦一息をつく。 「気付いた時には、少女の周りには何も無くなり、理解者である男だったモノを抱き抱え…そこにはただ、慟哭が鳴り響くだけだった…。このシナリオ、是非この『眼』で間近に観てみたかったんやけどなぁ。そんなにリスクが大きいんか?」 それは、この事件の、起こり得たであろう『最悪の結末』だった。 それをフユキは、ただただ楽しそうに語り出す。 それはまるで、物語の行く末をあれやこれやと想像する観覧者のように。
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