赤い本
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桜子は青年をどうにかして元気づけたくて彼に会うといつもあの本がいかに素晴らしいかを伝えた。しかし桜子の言葉は青年の言葉ほど力を持っていないようで彼の心にはあまり響いていないようであった。桜子にはそれが歯がゆかった。桜子は自分の思いをそのまま青年に見せることができるのならどれだけいいだろうといつも考えていた。言葉とは実に不便で不自由なものだ。
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