第1章 嫌われることにも意味がある

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「あっ。もしもし。小野寺です。おはようございます。あっ先生。今から家でますね。では、失礼します。」 平成という小さな時代をいつも通りのように過ごすべく、ある1人の高校生は家を出て高校へ向かう。 空を見上げると満点の青空。雲ひとつ見えない穏やかな日常。でもどこか悲しく美しい静けさを感じた。 朝の知らせを呼ぶ鳥のさえずりさえもこの街には無情に響き渡る。 家の玄関には誰もいないけれど、私にさえ見えない何かに目線を合わせてご挨拶。(別に幽霊が見える設定とかではないw) 軽く頭を下げて 「いってきます。」 下をうつむいて家先をもう一度見返してみれば、 「いってらっしゃい」 なんて母さんが優しく声をかけてくれたかのように見えたが、彼女が僕の前に現れることはない。 彼女の姿かたちまでは覚えていないけれど、最後に微笑んだあの顔だけは輪郭の線まで僕頭の中でしっかりと描かれていた。僅かな描写時間だったが、彼女のことを思い出せたようなきがした。 これだから嫌いなんだな。学校に行くのは・・・ あなたを思い出してしまうから。 「そんなこと。わかってるよ。」
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