きざはし

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「でも結局『きざはし』は教皇の下に戻ったんだろ?」 「ああ、けど今言った様にいつも教皇の下にあった訳じゃないって事さ。それからもうひとつ面白い事教えてやるよ。今から半世紀前、教皇が就任間もなく神隠しにあった。公には体調に深刻な問題があって交代したってなっていたけどな。」 「それは都市伝説だ、実際は口外できない醜聞がらみで降ろされたそうだよ。」  ジャンは全く僕の言葉を聞かずに続けていた。  「『きざはし』と共に消えたのさ。」  そろそろ僕は言ってやろうと思った。 「なぁジャン、一体どれほどの人数が『きざはし』に触れたと思っているんだよ。そんなにヤバいなら歴代教皇みな神の力を手にしたり発狂したりしているんじゃないのか?」  ジャンはにたっとする。。 「それは俺も知らねぇ。高僧が皆手にとれるかも知らないしたまたまかもしれない。俺はオカルトを信じている訳じゃなくて面白い事が好きなだけさ。こいつを開いたら俺達どうなるかね。」  ケラケラ笑うジャンの声を低い声が遮った。 「手伝いが必要かな?」 「すみません、すぐ片付けます。」  話声に戻ってきた牧父に慌てて僕達は辺りの物をかき集め、今度こそてきぱきとこなし、紛い物の神聖遺物をゴミやガラクタと一緒に庭で焼いた。  ジャンに呼び出されたのは三日後だった。
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