1人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもの汚れない瞳で大粒の涙を零している蛍ちゃんに、わたしは何も言えなかった。
「ねえお姉ちゃん、蛍も魔法使いになりたい! 蛍をお姉ちゃんの弟子にして!」
頼んでくる蛍ちゃんに、わたしは『黒の書』と、黒のコートをプレゼントした。
「いいのっ?」
「うん、わたしにはもう必要ないから。でもね、蛍ちゃん、この本があってもね、蛍ちゃんは魔法も魔術も使えないの」
「どうして?」
「……大人じゃないから、かな」
だからね、大人になって、まだ魔法使いになりたいって思ったなら、その時はわたしのもとを訪ねてきて。そうしたらその時、弟子にしてあげる──
最初のコメントを投稿しよう!