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中二病という、世間に認知されて久しい病気がある。思春期の少年少女誰しもに発症する病気で、症例は多岐に渡る。やっぱりコーヒーはキリマンジェロだよねと嘯きながら本屋の洋書コーナーで村上春樹の本を立ち読みしたり、周りを囲む未成年の喫煙者より特別性を出そうとぶっとい葉巻をコンビニ横でしゃがみ込んで吸ってしまう……そういった、将来頭を抱えてウワアアアアと叫び記憶から抹消したくなるような行動を取ってしまう、とんでもなく恐ろしい病気だ。
わたしも例に漏れず発症した。病名の中二よりも一年早咲きだったわたしの症状は、それはもう酷いものだった。中二病のなかでも最悪と呼ばれる邪気眼を発病し──邪気眼とはつまり、多重人格を気取って唐突に哄笑したり涙を流したりと情緒不安定の傍から見るとただの狂人になってしまうような、あるいは幽霊が見えると突然なにもない空間を見つめぶるぶると震えだすという傍から見るとただの狂人になってしまったりする、途轍もなく邪悪なものだ。
じゃあわたしはどうだったかというと。
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