シュートの悪魔4

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シュートの悪魔4

 「基本動作を徹底してください」   夜も深まる22時の郵便局のミーティングが始まり、唱和の後、課長からシュート担当に対しての注意事項に話が及んでいた。シュート担当の基本動作とはシュートになだれ込んできた荷物に番号印を押し、正しい番号のパレットに入れるということだ。シュート担当が覚えることは少ない。荷物の番号をみてそれと同じ番号がはられたパレットに入れるだけだ。だから、他の担務からは低く見られている。輸送ゆうパック部に採用になった短期アルバイトのほとんどがシュートに入れられる。教えることが少なくてすむからだ。だが、そんな単純な話ではない。覚えることが少ないからと言って間違いが少ないとは限らないのだ。  夏の短期アルバイトと同時期に長期アルバイトとして入った彼は、短期アルバイトが去った後もこの地域区分局にとどまっていた。繁忙期には最低3人はいないと成り立たなかったシュートに今は1人でとどまり、荷物があふれないようにキープし続けなければならない。それでも繁忙期に比べれば荷物は減っていた。  「番号印を押印していない方がいます。基本動作を徹底してください」  そうアナウンスがされる。モニターで番号印を押してない人をチェックしてアナウンスで名指することもあった。 
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