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シュートのみならず、輸送ゆうパック部のほとんどの人に番号印が支給されている。シュート担当は荷物の一つ一つに番号印を押さなければならない。
コンクリートの壁に新たな誤区分者の番号が張り出されていた。ミーティング前に各々の人がその張り出しを確認する。
彼の隣で張り出しを凝視していた男が「またか」と肩を落とした。
自分の番号があれば、問責の対象になるからだ。1つなら大丈夫だが3つ以上なら課長から指導を受けることになるだろう。短期アルバイトでさえ、例外ではないのだ。間違ったパレットに荷物を入れたものを特定するために番号印を押させる。彼はこのやり方を嫌悪していた。
誤送が良くないことは理解している。だが、番号印を押さない人を責めることもできないのだ。誰にだって間違いはある。荷物に追いやられて頭は真っ白な状況での間違いを誰が責められようか。
シュートは楽だと笑うやつがいる。彼はそんなやつとは二度と口を聞くものかと心に誓うのだった。
「休憩中いつもどこにいるんですか」
いつの間にかいなくなっていたあの男が彼に尋ねたことがある。彼は適当にごまかした。彼にとって中二階にある窓のない休憩室は息苦しかった。たまに三階の郵便部の休憩室にこっそり紛れ込むこともあった。ここには窓があった。深夜の真っ暗な街にコンビニの明かりがひときわ目立っていた。
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