シュートの悪魔4

3/3
前へ
/39ページ
次へ
 台風の夜、屋上駐車場に行ってみたくなった彼は、強風につき屋上喫煙所立入禁止の張り紙を無視して、エレベーターに乗った。彼の予想に反して外の風は止んでいて、立入禁止のはずの喫煙所にも何人かのおばちゃんがたむろしていた。 おばちゃんの横を無言で通り過ぎた彼は北側を目指して歩いていった。もしかしたら見えるかもと彼は期待していた。  台風が過ぎた後だからかそれとも元々から見えないのか。京都タワーの姿はここまでは届かなかった。  「屋上だとここからでも、京都タワーがみえるよ」  そう彼はあの男にうそぶいたことがある。彼は肩を落として屋上を後にした。休息時間が終わろうとしていた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加