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シュートの悪魔7
深夜の3時、休憩時間に自動販売機でコーヒーを買ってる彼の後ろにあの男が立っていた。
「なんだ。もう少し待ってれば、奢ったんだがな」
「必要ありません」と彼は答えた。
「なんだ、知ってたのか」
かって、暴言を吐いて連行されたあの男が眉をひそめて呟いた。いつもと様子が違うこの男に彼は首をかしげるのだった。
「吐いてやめた奴いただろ。戻ってきたぞ」
この男の言葉に彼は驚きを隠せないのだった。必要ないと言っていたあの男が戻ってきた。理解できなかった。
「誰だって事情があるだろうが、なんでわざわざここになあ」
ここはとある地域区分局の輸送ゆうパック部、郵便局で最もきついと言われるシュートがある場所である。
「思うんですけど」
「チルドが人手不足だって言ってたな」
この男は彼の言葉をさえぎってニヤリと笑うんだった。この男は彼の考えていることを見透かしているのだった。
「嫌な人ですね」
彼の言葉にこの男は再びニヤリとするのだった。
「俺、上の人から嫌われててさあ。だから、課長にチルドに入れるように上手いこと言ってもらえないかな。貴様ならやれる。よろしくな」
そう言ってこの男は手のひらをひらひらさせながら去っていくのだった。
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