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休憩後のシュートはどこも騒然としていた。
「5番シュートの方一人6番に行ってください。よろしくお願いしますー」
だが、5番シュートの誰も動かない。みんな、荷物をさばくことに夢中でスピーカーからの声が聞こえていないのだ。再度同じアナウンスが繰り返されたが誰も動かない。彼は隣のシュートにいながらアナウンスが段々怒りを帯びてきているのを感じた。だが、それこそ人間だと、彼は思うのだった。
しばらくして長期アルバイトの一人が気づいて動いた。20秒に満たない時間だった。
その後のアナウンスの「ありがとうございます」その言葉は建前でない本音だったと彼はほっと胸をなでおろすのだった。
そこに夜明けがあった。午前7時の寒くない夏の深夜勤を終えた朝に彼は充実感を感じていた。周りには疲れ果てた人々の姿が早朝の電車に乗るべく20分もの時間をかけて駅まで歩いていくのだ。近所から来ている自転車組や彼のような隣の街から来ている原付き組は早めの安息の地にたどり着けるだろう。
今日は晴れている。それだけが救いだった。だけど、今日の22時には新たな戦いが待っている。深夜勤の宿命である。
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