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シュートの悪魔2
「東の地獄、西の天国」あの男はそう言った。「知っているか」
「わかりません」彼にはこう答えるしかなかった。彼にとっては東と西どちらも地獄だったからである。
この地域区分局と言われる郵便局の輸送ゆうパック部には大きく分けて東と西のシュートがある。
「物量が違うのだ。政令指定都市がほとんどを占める東シュートは当然のように物量が違ってくる。貴様は理解していないのか」
男の言葉に彼は何も言い返せなかった。そんなことを考える余裕などなかったのだ。ひたすら荷物のコードを読み取り、正しいパレットに放り込むだけの生活を送ってきた彼を誰が責められようか、だがこの男は彼を責めた。
「楽をしたいならシュートを理解しろ。楽をしたいための準備を怠るな」
大言壮語を吐くこの男はやがて課長や副部長に連れられ局を後にする。暴言を吐いたためである。
「貴様は何をしている!」
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