シュートの悪魔3

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シュートの悪魔3

秋が迫ろうとしてるこの時、やってくるのは台風である。一人の男が歩いてきた。暴風雨の中、三時間もの道のりを歩いてきたのだ。  「疲れました」この男は言いのけたが疲れた様子はなかった。彼はこの男が嘘をついてるのじゃないかと思った。だが、彼の疑惑は払拭されることとなる。この郵便局の最寄り駅の電車はすべて夕方で運転を見合わせていたのだ。  「地下鉄は動いていたんだけど、そこから電車ないから歩いてきたよ」  なぜそこで引き返さなかったのかと、彼は頭を悩ませたが、この男は以前からよくわからないところがあったので考えるだけ無駄なのだろうかと諦めることにした。  県外からの幾人かはたどり着けなかった。それに関して一部から不満が出ていた。特休扱いに対してである。  台風などの自然災害で交通機関が麻痺した場合、局にたどり着けなかったものには有給休暇扱いにするという決まりがある。  無理してたどり着いたものにはそんなものはない。隣町から原付きで来ている彼には関係のない決まりである。     
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