シュートの悪魔1

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シュートの悪魔1

 「6番シュートの方、荷物を引いてくださーい」 色彩のない声が響く。色あせた声、色あせた世界、ここはどこだろう。 わかってるはずだが、わかりたくない世界、とある郵便地域区分局の輸送ゆうパック部の一室というには広すぎる世界。  「よろしくお願いしますー」 コンクリート張りの巨大倉庫並の広さの敷地に声が響く。いくつものスピーカーからのその声は抑揚を欠いており、まるでロボットが話しているかのようである。丁寧な言葉遣いを心得ているが気持ちはこもっていない。語尾を伸ばされると嫌味にさえ聞こえてくる。彼はシュートの一角で供給からひたすら流される機械区分の荷物に翻弄されながらそう思うのだった。     
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