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 ある王子が生まれた時、父である王は考えた。我が子には、何としても幸福な人生を贈ってやりたい。そのためにはどの神の加護を願えば良いだろうかと、王は頭を絞って悩み抜いた。  勇ましい武神の祝福は、息子に勝利を約束してくれるだろう。でも、戦いだけを得意とする王は、短慮と軽んじられはしないだろうか。  それなら、あらゆる謎を解き明かす知恵の神なら良いだろうか。いやいや、人は理屈によってだけ動くものではない。知恵も知識も、治世の助けにはなるかもしれないが、王が最も必要とするものかというと違う気がする。  輝かしい黄金の神は、もっと違う。ただの民なら裕福な暮らしを望むのも良いけれど、上に立つ者の輝きは富や財宝によって得られるものではないはずだ。詩歌や絵画、芸術の神も同様に、その加護がどれほど美しくても尊くても、王に相応しくはないだろう。  ああでもないこうでもないと悩んだ末に、王は閃いた。我が子に勝利も名誉も民の尊敬も約束してくれるであろう、素晴らしい神に思い至ったのだ。     
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