夜に泣く

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 あの夏、加奈子さんたちが東京に戻ったあと、聡子さんは近隣の家々を尋ね回ってその女性を探したが、誰もその存在を知らなかった。そのかわり住民は一様にして「それは『夜泣き石』の女では」と不安げに声を潜めた。 「だからね、加奈子ちゃんや孫ちゃんにもしものことがあったらと思うと、気軽に遊びに来てって言えなくなっちゃったの……」  寂しそうに語る聡子さんは、この数年でめっきり老けこんで見えた。  数年後、加奈子さん夫婦は義両親を呼び寄せ、都内近郊の二世帯住宅で一緒に暮らし始めた。  聡子さんは、以前通り明るく元気になり、息子家族と仲良くやっているそうだ。
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