6人が本棚に入れています
本棚に追加
あの夏、加奈子さんたちが東京に戻ったあと、聡子さんは近隣の家々を尋ね回ってその女性を探したが、誰もその存在を知らなかった。そのかわり住民は一様にして「それは『夜泣き石』の女では」と不安げに声を潜めた。
「だからね、加奈子ちゃんや孫ちゃんにもしものことがあったらと思うと、気軽に遊びに来てって言えなくなっちゃったの……」
寂しそうに語る聡子さんは、この数年でめっきり老けこんで見えた。
数年後、加奈子さん夫婦は義両親を呼び寄せ、都内近郊の二世帯住宅で一緒に暮らし始めた。
聡子さんは、以前通り明るく元気になり、息子家族と仲良くやっているそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!