夜に泣く

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 義両親も加奈子さんと初孫である赤ちゃんの来訪を歓迎し、特に義母の聡子さんは、食事の支度や洗濯はもちろん布団の上げ下げなど全ての雑務をひとりでこなし、加奈子さんの身体を気遣ってくれた。生まれた直後から赤ちゃんの夜泣きに悩まされて寝不足だった加奈子さんにとって、それはありがたすぎるもてなしだった。 「夕飯前に、散歩でもしてきたら?」  酷暑の八月でも、この土地での朝夕は過ごしやすい。聡子さんに提案され、加奈子さんは赤ちゃんを抱っこして近所を散策することにした。 「こんにちは。吉野さんのところのお嫁さんだろ? お孫ちゃんかい? 可愛いねぇ」  小さな集落ゆえか、加奈子さんと赤ちゃんの滞在を近隣住民のほとんどが知っているようで、みな気軽に話しかけてきた。  そんななか、 「こんにちは」  裏山の小さな神社の前で、加奈子さんと変わらない歳頃のお腹の大きな女性に声を掛けられた。 「こんにちは。三班の吉野の嫁です」  聡子さんに教わったとおりに挨拶をする。女性が軽装で手ぶらだったから、ご近所さんだろうと判断したのだ。 「可愛い赤ちゃんね、何カ月?」 「ちょうど半年を迎えました。そちらは?」 「臨月に入ったところなの。いよいよって感じ」  半年前の自分を懐かしみながら、加奈子さんはその女性と妊娠時や出産後の苦労話に盛り上がった。特に現在頭を悩ませている「夜泣き」について話すと 「それならイイ場所があるわ」  女性は加奈子さんをとある場所に案内してくれた。  神社から更に山道を10分ほど上った場所に、それはあった。     
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