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「どさがきや来たの?」
「あんまねんこいね」
「しろしぐね」
「だば、学校さ行ぐし」
こ・言葉が分からない!目を真ん丸に見開いて、美都はその場に固まってしまった。
学校のクラスでも同じことが起こったけれど、美都はなるべく笑顔をふりまいて、気に入られようとした。
でも、クラスメートにしてみれば、質問しても返事もしないで、微笑んでいるだけの美都は不思議な転校生だった。
一日が終わると、美都はぐったりと疲れていた。
帰りは班下校ではないので、終礼の挨拶が済むと同時に教室を飛び出した。
その様子を見たクラスメートたちは、集まってなにやらひそひそ相談をし始めた。
「お帰り美都。学校どうだった?」
家に帰ると待ち構えていたように、母が玄関で美都をむかえた。
「う・・ん。普通」
美都は言葉も少なく母の横を通り過ぎて、階段を上って自分の部屋に入った。
そして、床に積んだ辞書の下から、押し花にしている四つ葉のクローバーを取り出した。
『美都ちゃんなら、すぐお友達ができるよ』
『みんなの分まで、幸せになってね』
初日から、友人達の期待に応えられないなんて・・と美都は落ち込んでしまった。
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