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 美都の腰までありそうな雪だるまが3体並んでいて、その顔には枝や葉っぱで顔が描いてあった。    日曜日、美都はパジャマにコートを羽織ると、階段を駆け下りて玄関を開けた。 「あれ?」  でも玄関アプローチに探し物はなく、美都は素足に靴をはいたまま玄関から外に出た。  家の西側にある使っていない駐車場の方から、クスクス笑いが聞こえたような気がして回り込むと、美都の肩までありそうな大きな雪だるまが4体並んでいた。 「うわ~~っ大きい!幸せのクローバーの葉っぱと同じ数だわ!」  美都が大喜びして雪だるまに近寄った途端、わ~っと歓声が上がり、後ろからたくさんの子供たちが飛び出してきた。 「美都ちゃん、お誕生日おめでどう」 「おめでどう!」  びっくりしてしりもちをついた美都を引っ張り上げながら、真里菜がみんなで飾った色紙を手渡した。  そこには『美都ちゃん。ようこそ北国へ。これからずっと仲良くしよう』と書いてあった。 「あ~美都ちゃん、目の下さ氷柱ができるし」 「そんなに早く涙が凍るわけないでしょ!」  美都が言い返した言葉にみんなが弾けたように笑った。  いつの間にかやってきた両親も、美都が新しい友人達に囲まれているのを見て、幸せそうにやわらかく微笑んだ。
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