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ねぇ知ってる?雪だるまって温かいんだよ。
駐車場に並んだ4つの巨大雪だるまの頭をぺしぺし叩いて、行ってきますと声をかけ、春野美都は通学班の集合場所へ歩いて行った。
小学校5年の十二月に、美都は北国の街に転校することが決まった。
父の同僚が病気で長期入院することになったので、その支社の仕事を父が引き継ぐことになったのだ。
2学期も終わりに近づいた時期での転校は、不安ばかり募って、我慢強く真面目でしっかりした性格の美都も、落ち着きをなくした。
沢山のクラスメートに相談したけれど、美都を納得させる答えはもらえなかった。
「仲良しグループが完全にできちゃってる中になんて、今さら入りづらいし、知り合いも誰もいないところに行ってうまくやっていけるのかな」
美都の不安は分かっても、大人の都合を変えられないことも知っている友人達が、美都にかけられる言葉は、ただ励ましだった。
「美都ちゃんなら、きっと向こうでもリーダーになって、みんなを引っ張っていくと思う」
「うん、きっと転校先でもお友達がいっぱいできるよ。遊びに行ってもいい?」
「美都ちゃんがいなくなると寂しいよ~」
そして、みんなで泣いたんだ。
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