みたび、ちょっとした幕間のようなもの

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「そ、そんなにですか?」 「いや。20とは言っても、さっき言っただろう? 最後のほうは皆一杯か二杯で終わってしまったと」  度肝を抜かれた俺はグラスを持ったまま彼を見つめる。そうは言っても、彼は合計して何リットルのアルコールをその胃袋に収めたのだろうか?  それに、彼らは酒をなんだと思っているのだろうか。水代わり、などといってタンブラーに日本酒を入れて出勤していそうだ。しかし、それではただのアルコール中毒患者だ。 「まだだよ、森田くん。完全に驚くのはまだ早い」  酒匂氏は人差し指をメトロノームのように左右に傾ける。勿体ぶる雰囲気が憎い。 「なんですか。まだ何かあるって言うんですか」 「そうだよ。まだある。寧ろここから、宴も酣(たけなわ)に向かっていくというわけだよ」
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