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テレビカメラ、司会者、缶チューハイ20本。
4人の好敵手、スーツ、ライチのイラスト。
こんな得体の知れない状況に置かれてまで、自分は酒を欲することが出来るとは思いませんでした。
既に出場が決まっていた方々の紹介が白のタキシードを着た司会者によって行われると、今度は私の紹介になりました。『神酒村さんの秘蔵っ子』というワンフレーズが若干腑に落ちない感はありましたが、立て板に水の流るるがごとき司会ぶりは流石といえるでしょう。初めて見る方でしたが、後で神酒村氏に訊いたところ、彼はローカルタレントなのだそうです。
さて、それよりも重要なのはこの缶チューハイなのです。第一ステージと称されたこの部門は、目の前に20本並んだ缶チューハイ・ライチ風味をすべて空にするという、至ってわかりやすい種目でした。
程なくして司会者のホイッスルが鳴り渡って、競技が始まります。
缶の側面にはただライチのイラストが描かれているだけで、製造会社などの記述はありませんでした。初めて見るものだったので興味津々と見ていたら、少し出遅れてしまいました。
落ち着いてふたを開けると、なんと芳醇なライチの香り!
私も家内との晩酌にて缶チューハイを飲むこともたまにありますが、そんなものとは比べ物にならないほどの香りが私の嗅覚に訴えかけてくるのです。
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