4人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
さいごの、ちょっとした幕間のようなもの
「ということは、優勝したんですか」
「まぁ、そういうことになるのかね」
酒匂氏は嬉しそうに、通算七十三杯目となる小さなグラスを傾ける。そのときの様子を思い浮かべているのだろう。
「しばらく、尿意が治まらなかったがね」
付け足すように言うと、また笑った。そこで襲ってきたのが吐き気ではないあたり、流石と言うべきなのだろう。
「結局、優勝が私で、二位が神酒村さん。五連覇はならず、ということさ。もう一躍英雄になってしまったよ」
それはそうだろう。向かうところ敵なしだった人に、さらに創立者のような人を加えて、さらにその彼らを押しのけて優勝してしまうのだから。
「他の皆さんの体は……?」
「ああ、それなら心配御無用だ。四人とも五分くらいで立ち上がったからね。……いや、一人は気持ちよくなっちゃったみたいで、札幌駅に戻るまで眠りこけていたかな」
「また駅に戻ったんですか」
「ああ、そりゃあもちろんさ。ただ、戻ってからが大変だったんだがね」
最初のコメントを投稿しよう!