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それにしても、何だろうか。この漠然とした違和感は。
話の繋ぎ目というのか。シチュエーションというのか。
浮世離れしているというのか。非現実的というのか。
「夢、みたいな話ですよ」
――そうだ。夢の中の世界のようなのだ。電車がレールの無い一般道を走ったり、一人で電車を作る老人がいたり、指を鳴らすだけで……。そんなことが世の中、有り得るだろうか。俺自身、北海道には行ったことが無いから、実はそういった不可思議なことが起きることもあるかもしれない。しかし、いくらなんでもこの地球上にレール無しで走る電車は無いだろう。前提条件で破綻しているではないか。
疑念は確信に変わった。
「そうですよ。夢の中で見た世界だったんじゃないんですか?」
俺がそう返すと、酒匂氏は一瞬目を大きくする。しかし、すぐに立ち直って、いつもの微笑みに戻った。
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