こちらの宴も、酣

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 酒匂氏はゆっくりと立ちあがって、財布から俺の分も合わせた金額をマスターに渡した。そして、俺の左胸に触れながら、 「尤も。今までの私の話を信じるか信じないかは、君のここ次第だがね」  そのまま店の扉のところまで歩を進め、引き戸を全開にする。寒気が店内に吹き込んでくる。 「それと、君にもう一つ。……君の上司は、いくら君より酒が飲めない人だとしても、君が人生という旅路を歩んでいく上での先輩であることには違いない。出会いはすべて一期一会。もう少し付き合ってやりなさい」  振り返りながら、酒匂氏は言う。  そして、右手を高々と掲げて――。
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