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女性が部屋に戻ってきてからは会話はなく、男性は試験会場だというのにスマートフォンを触っているし、女性は面接の対策本なのだろうか、ずっと本を読んでいた。
コンコンコン。
再び部屋がノックされ、受付の女性が入って来た。
「お待たせしました。それでは面接試験に入ります。そちらのお二人はこちらへ」
男性と女性が先に呼ばれ、部屋には僕だけが残された。
「・・・どうしよう」
いよいよ最終面接ということもあり、僕の心臓はドキドキとしていた。しかも部屋に独り残され、もしかしたらだめかも――なんて、余計なことを考えてしまう。手に汗を握りながらじっと座って待っていると、コンコンコンと音が鳴った。
けれど、誰も入って来ない。
「あれ、さっき鳴ったよな?」
コンコンコン。
「はい」
僕は返事をしたが、入って来ない。
コンコンコン。
「はい、います」
僕は再び返事をしたが、入って来ないので部屋の扉を開けた。が、廊下には誰もいなかった。
「・・・なんでだ?」
首をかしげながら扉を閉めた直後、耳を塞ぐようなコンコンコン!!と大きな音が鳴った。
「ああもう!何なんだ!?」
僕は勢いよく扉を開けたが、誰もいない。
「どうなっているんだ!?誰かいないのか!?」
僕は廊下に向かって叫んだが、誰も現れない。
「くそっ!!」
僕は苛立ってバン!と大きな音を立てて扉を閉めた。
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