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『では、正直者である君への最終面接、履歴書を見せてもらおう』
すると壁や天井が動き出し、壁から小さな無数の穴が現れた。
「な、何だこれ!?」
僕はこれから何が起きるかわからない状況に、恐怖を感じた。
『慌てないで。ちょっと光を浴びてもらうだけだ。では目をつぶって・・・3・2・1』
バシャ!!
強い光が突如現れ、僕は思わず目を手で覆った。
『はいお疲れ様。結果をしばらく待っていろ』
ウィーンと何か機械の音が聞こえていたが、僕の目はまだ開けることができないでいた。足音が近づき、音が止まった時ようやく目を開けることができた。
目の前で男が何やら変な手袋とゴーグルをつけて、淡く光っている本のような物を見ていた。
「ふうん、君は本当に嘘をつくことが苦手、いや、下手なタイプの人間なんだ」
男は本のような物と僕は見比べていた。
「あの、それって・・・」
「ああこれか。これは君の本だよ」
男は楽しそうに言った。
「僕の本?」
君の本だと言われても僕にはどういうことか理解できなかった。
「そう。君が生まれてから今に至るまでの全てが記されているんだ。君が何年何月何日にどのような行動をとり、その時何を考えていたのか、これにはすべて記されている。僕はこれを『人生履歴書』と呼んでいる。ちなみにさっき光を浴びる前は恐怖を感じていたし、3年前に当時付き合っていた彼女と別れた理由は――」
「わー!それ以上言わないでください!」
僕は目の前の男性が知るはずのないことを言われ、慌てて大声を出して遮った。
「まあ、これを言われたら恥ずかしいか。なら言わないでおいてやろう」
僕は男の手にある本には本当のことが書かれているのだと認めざるをえなかった。
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