日記という名の記憶

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「えっ?ここで終わり?」  僕は肩透かしをくらった。  なんとページが破れて先がないのだ。  その次のページからは空白になっていて、結末はそのページに全て書かれているに違いない。なんとかその紙片をみつけようと必死になったけど、とうとう見つからなかった。諦めきれずにゴソゴソやっていると、背後から声をかけられた。 「おやおや、こんなところに閉じ込められて可哀そうに」  この声はおばあちゃんだ。 「全然平気だよ、おばあちゃん。それより探し物を手伝ってよ」 「はいはい、残りはご飯を食べてからにしようねぇ」  おばあちゃんはそう言うと、僕の手をとって歩き出した。 「ねぇ、おばあちゃんはこれ知ってる?」  僕は持ち出した日記を見せたけど、おばあちゃんは優しく微笑むだけで何も答えてはくれなかった。
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