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「神様。僕は世界中の本を読みました。どうか、ほんの少し手を伸ばしてはもらえないでしょうか。こちらは驚くほどに風が強くて、捕まっているのがやっとなのです」
神様は言いました。
「はて、おかしなことを言う。世界中の本を読んだのなら、ここの風がこんなに強いことだって知っていただろう」
しかし、強い風たちが、その言葉をおじさんに届けることはありませんでした。
「一冊を大切にすることだね、おじさん」
そして神様が手に持っていた本をパタンと閉じると、本の塔はたちまち崩れていくのでした。それは、宝石みたいに鮮やかな赤い表紙をしていました。
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