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神に至る本
広い広い野っぱらに、うんと大きな山みたいな、たくさんの本がありました。
「おじさんは何をしているんだい?」
湖の魚のような銀色の髪の少年が聞きました。
本の山のふもとで、ラムネを割ったような眼鏡をしたおじさんが答えました。
「やあ少年。僕はね、世界中の本を読んだのだよ。世界には、それはもう、気が遠くなるくらいの本があって、それはもう、目が回るような難しい本もあるのだよ。なあ、少年。人にはとても無理なことだよ。それを僕は雨の日も風の日も集めて、海を越えて山を越えて集めたのだよ。そして、日が暮れるまで本を読んで、夜が明けるまで本を読んだのだよ」
おじさんは山を切り崩して、土の上に並べました。少年は首をかしげました。
「そうすると、どうなるんだい?」
おじさんの手は止まりません。
「これは、人にはとても難しいことだよ。なあ少年。でも僕はね、世界中の本を読んだのだよ。それはもう、僕は人ではないということなのだよ。だから、僕はこうして読んだ本を積んで、あのお空におわす神様に会いに行くのさ。少年。そうして僕は、神様のお仲間に入れてもらうのだよ。僕は世界中の本を読んだのだからね」
「ふーん」
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