しゅくめいのこい

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「――ああ、よかった。読んでくれたんだ」  かけられた声に、顔を上げる。  先日編入してきた転校生がそこにいた。  他の同級生に比べて段違いに垢抜けた物腰。整った顔。そういうものに騒ぐ声は聞いていた。  クラスでも地味な部類の本の虫な自分には関係のない話だと、そう思っていたのに。  彼は誰よりも親しげな笑顔で、まるで旧知の仲のように、当たり前のように、親愛のこもったまなざしを向けてくる。
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