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「ねえ」 「はい?」 「二人が喧嘩した時期が、ひと月半くらい前だとして」 「ひと月半?」 「そう設定したら、東海林くんと山瀬さんが本を借り始めた時期と重なるんだけれど、どう思う」  後輩は僕の設定を聞くと、思考を巡らせ始めた。すると、徐々に表情が先ほどの明るさを戻していく。 「ひと月半前だとしたら、ちょうど中間テストの期間ですね」  そういえば、そうだった。 「東海林くんは普段なら彼女と一緒に帰るか、一緒に勉強をするはずだったのでしょう。でもそういう状況だから、一人で図書室で勉強していた。一方の山瀬さんは、もともとよく図書室を利用している。二人の接点が生まれてもおかしくないですね」 「山瀬さんと東海林くんは人柄が全然違うだろうし、他に接点はなかったかもね」 「その通りだと思います。だとすると、余計に運命めいた気になりますね」  後輩の思考が、どんどん暴れ始めるのが見て取れる。
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