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履歴を見て、僕は首を捻った。
貸出履歴は残り三人分まで埋まっていた。不思議なのは、それが二人の人物だけだった
ことだ。
およそひと月半前から、この二人が交互にこの本を借りている。名前を見るに、女子と男子だ。最後に女子の方が借りて、そこから二週間ほどが経っていた。
僕に借りられるまで、この本は二人によって独占されていた。誰にも借りられないように。二人だけの世界を、守るように。
そうやって大げさに考えてみると、少しだけ後味が悪くなる。まるで、僕が二人の仲を
裂いてしまったようではないか。
まあ、実際は些細な理由なのだろうけれど。単にこの本にはまり、しかし貸出期間の中じゃ堪能できないから、こうして独占しているのだろう。そうなるとしおりの話が矛盾するが、僕にはそれ以上深く考える意味はない。
僕はそれ以上考えるのをやめ、少しでも勉強しようと机に向かう。でもどうも本の続きが気になり、シャーペンを持ったまま、いつの間にか再び本を広げていた。
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