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◇
実穂が残した紅茶を啜りながら、悪魔は新たになった絵本の最終ページを見返していた。
「吃驚したなぁ、ありがとうだって? まさか自分からすんなり中に入っちゃうなんてねえ。人間て本当、面白いと言うかつまんないと言うか……」
もう離れることはないとばかりに、そこには仲睦まじく手を繋ぎ、互いに微笑み合う双子の姉妹の姿があった。
鮮やか且つ繊細に描かれるその姿を、悪魔は暫くの間ぼんやりと眺めていたが――
突然、彼は空いている棚へ適当に絵本を放り込むと、すたすたと店頭へ出て『Closed』の看板を出した。
「コンプリートしたらすぐにつまんなくなるなんて、ホント悪魔ってのは飽きっぽい所が玉に瑕だよねぇ」
さて今度は何を集めてやろうかと、悪魔は次なる『世界で一冊だけの絵本』に新たな期待を膨らませる。
そうしてご機嫌に鼻歌を歌いながら、その日は早めの店仕舞いをした。
~終~
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