絵本の中の少女たち

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 元々は二人でこの店に通っていた私。  正確には、この店が私達の待ち合わせの場所だった。  もう一人と言うのは、私の双子の妹である。  私の名前は実穂(みほ)、そして妹は果穂(かほ)と言う。  ――ずっと一緒にいようね。私達は二人で一人なんだから。  仲睦まじかった私達姉妹のそれが口癖だった。  ところがだ。  突如離婚した両親にそれぞれが引き取られ、私達は引き裂かれた。  大人の勝手に、図らずも子供は巻き込まれる。  非道い……私達はずっとずっと一緒にいたかったのに。  けれども、双子と言うのは不思議なものだ。  同じ時期に同じ場所で。  偶然に見掛けた同じ絵本に導かれるかのようにして、引き離された筈の私達は再会を果たした。  連絡先を交換し、この書店を待ち合わせの場所にして、二人で頻繁に会うようになった。
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