8人が本棚に入れています
本棚に追加
元々は二人でこの店に通っていた私。
正確には、この店が私達の待ち合わせの場所だった。
もう一人と言うのは、私の双子の妹である。
私の名前は実穂、そして妹は果穂と言う。
――ずっと一緒にいようね。私達は二人で一人なんだから。
仲睦まじかった私達姉妹のそれが口癖だった。
ところがだ。
突如離婚した両親にそれぞれが引き取られ、私達は引き裂かれた。
大人の勝手に、図らずも子供は巻き込まれる。
非道い……私達はずっとずっと一緒にいたかったのに。
けれども、双子と言うのは不思議なものだ。
同じ時期に同じ場所で。
偶然に見掛けた同じ絵本に導かれるかのようにして、引き離された筈の私達は再会を果たした。
連絡先を交換し、この書店を待ち合わせの場所にして、二人で頻繁に会うようになった。
最初のコメントを投稿しよう!