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タイトル通り、淡く美しい色彩で描かれた少女たちがその絵本の中には息づいていた。
今にも動き出しそうなリアリティ。けれども皆物憂げで悲しい表情をしている所が気にかかった。
そう言うコンセプトなのだと言われてしまえば終わりだが、その瞳が何かを訴えるかのようにこちらを見つめて来るようで……
ガタン!
思わず絵本から手を離した私は、勢い良く椅子から立ちあがった。
「そ、そんな……」
最後のページを彩る少女。
私を見つめるその悲しげな瞳は……それは見紛う筈が無い、私の分身だった。
「そう、それは果穂ちゃんだよ。早く仲直りがしたいってね、そこでずっと君を待っていたんだ」
そんな軽い口調で投げ掛けられた店主の言葉が、ザクリと私の心に冷たい刃となって突き刺さった。
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