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episode244 Be A Good Boy ①
それから少し経った頃。
拓海が僕に会いたいと言ってきた。
「やあ」
「来てくれてありがとう」
さすがに屋敷へ来るのは気まずかったのか。
場所は九条グループのホテルのペントハウスだ。
「よかったらどうぞ――もう済ませたかな?」
僕が着く時間に合わせて
ルームサービスが軽い食事を用意していた。
午後の1時を回ったとこだったから
僕が昼食をとって来るか否か迷ったんだろう。
「いいや、まだ――」
僕は部屋を出て行くサービス係を
作り笑いで見送ってから
「だけどさすがに――君と一緒にランチを楽しむ気にはならないな」
揃えて並べられた銀食器や
美しく盛られたクラブサンドを見下ろし
吐き捨てるように言った。
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