プロローグ

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プロローグ

   始まりは体育祭。 クラス選抜の5000mリレーが終わって、いやがおうにも 皆の視線が俺に集まる。 ぶっちぎりのダントツチームのエースったら、やっぱり視線は集まるわな。 ダテにスポーツ特待として、この学園に入ってねーよ。 でも、お祭りのメインはこれから、ちょっと長めの1500m。 「マサハル!1番じゃなきゃ、許さないからね」 バシッとゆらの気合を背中に受けて、いよいよ俺も燃え上がる。 学園のヒロインの由羅(ゆら)カオルの声ではない。 だってゆらには、日向亘(ひなたワタル)が居るからだ。 ゆらと両想いのワタルは学園一の秀才で俺の親友の(くせ)に、 小柄で体力が無いのが災いして、運動音痴の万年ビリだ。 天は二分を与えずって、ありゃホントだな。 勉強はからきしの俺だけど、天は誰より速い足を俺にくれた。  メインは1500m走。背中に感じる学園内の皆の視線。 「位置について」 ピンと張る、この空気がたまんねぇ。 「用意」 ピストルの音と共に、俺は飛び出した。 ぶっちぎりですぐに後続の奴らを引き離して、グングン加速する。 割れる歓声。 宙をつかむ足が大地を()る。問題は直線後の急カーブだ。 割れるような(みんな)の声に問題のカーブに入ると、 同じ陸上部の2年、3年を1年の俺がぶっちぎる。 俺は風になる。 風をつかんで風と1つになる。 トラックを3周してラストのカーブを曲がり、独走のままゴールが見えた。 後は直線だ。だがカーブを終えた途端、左後方に気配を感じた。 息遣いと軽い足音が追ってきて、俺をぬきにかかる。 女子のサカキだ!コイツは女のくせに、やたら速い。 男子選抜になぜ女子のコイツが混ざるかといえば、このガッコの特例で、 女子は誰も、このぶっちぎりを相手に出来ないからだ。  しかもリレーなしのコイツはスタミナがある分、有利だ。 けど、テニス部のエースだろうが負ける気はしない。 俺は強い奴ほど熱くなるんだ! テープを切る感触にゴールインした俺から、数秒差でサカキが他の 奴らと一緒にゴールする。
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