第4章 夜の学園

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   「本当のダチなら叱りつけても、恨まれても見捨てずに()えろよ!」 「あの時、俺を叱ってくれたワタルみたいによ!」  ゆかりの(ほお)から大粒の涙がこぼれる。 そのまま突っ伏して、おいおい泣き出した。 「ゆかり」と松葉杖替りの傘にすがったひろみの声に、視線だけ上げる。 きっとひろみはおかしな私に気づいて、ここに来たのだ。私を追いかけて。 傷む足を引きずって。ただ、私の為に。 「ごめん・・ゴメンなさ・・・ごめんなさ・・い」  ゆかりは泣きながら、立ってひろみに近寄ろうとした。 窓を背に立ち上がり、1歩踏()み出そうとする、そのゆかりに。  ズルッと何かが頭から、垂れ下がった。スライム状の黒さ。 それが、あっという間にゆかりを巻き込み、割れたガラス窓から 外へ飛び出した。 「ゆかり!」と飛びつこうとするサカキを突き飛ばすように黒さから 引きはがし、同時に俺は黒さを追って、窓から飛び出た。 「ちょっ・・豊永・・?」とサカキ。 ここは2階だ。 目の前に大きな茂みが枝を張っていて、俺はその樹の中に突っ込んだ。 枝に残されたのは、ゆかりの白いニット帽。 スライムはゆかりを抱え、そのまま枝を離れて逃走している。  夜の闇が俺を包む。 茂みに俺を見失ったサカキが、豊永ー!と怒鳴って俺を呼ぶ。 だから俺は枝を突っ切り、呪文を低く叫んだ。  「ノアール。キャッチ、ラ、シドウ!」 闇と闇をつなぎ、また別の闇へと、いざなう俺の魔法。 夜の闇の中、闇より深い暗さを()んで、その暗さごと俺は 闇の中を移動した。                ##
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