彷徨う果てに

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月灯りの下 凍てついた時の檻 聞こえてくるのは風の調べと孤独の心音 舞い散る花びらにあの花の面影をみるけれど 時の砂ように零れ落ちてゆく 蒼黒の地彷徨い紡ぐ死神 過去に囚われた憐れな死神――――  白く可憐な花が咲き乱れる世界で、白の法衣を纏った誰かが、唄をうたっていた。 どこまでも澄んでいて、どこまでも真っ直ぐな想いを孕んだ、唄を。 あの頃は唄など興味もなく、唄に心を動かされる事も決して、ない。淡々と儚く零れ落ちてゆく、雨雫のようだった。 どれほど美しい響きでも、何の意味も為さなかった。 少女は暫し、その光景を見つめた。
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