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「…先程は本当有り難うございました。」
「え?あ、いや…。」
彼女の美声にいちいち反応してしまう。
「…さっきまで取引先にお花を届けてまして…。私花屋を経営してるんです。」
「ああ、なるほど…。」
「その帰りにうっかり先程の所ですタイヤを溝に嵌めてしまいまして…。本当ご迷惑おかけしてすみません…。」
「あ、いや大丈夫ですよ。」
その時俺は運転する彼女の横顔をチラリと見た。
一度も染めた事がなさそうな黒髪。
綺麗な鼻筋。
化粧っ気がないのに綺麗で
多分俺よりは年上っぽかった。
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