Christmasrose

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その時俺は張り紙に目がついた。 「…バイト募集してるんですか?」 「え?あっ…はい。私だけじゃ手に負えない時ありますから…。バイト募集始めようかと…。」 「へえー…。」 ここで働けば俺はまた彼女に会えるんだよな? 彼女に会いたい。 だけど、俺には彼女がいる。 いや…しかし。 いくら何でも花に何の興味もない俺が花屋なんか勤まるか? 「あ、俺…そろそろ。」 「あ!すみません!どこか行かれる途中でしたよね!ごめんなさい!気がつかなくて…。」 「あ、いや…。実家に帰るだけだったので。」 「じゃあ、帰省されたんですか」 …帰省? まあ、そんなものか。 「まあ、はい。」 「そうだったんですね!いつお帰りに…?」 (…そういや決めてなかった。) 「…それはまだ。何とも…。」 「…そうなんですか。」 そう言った彼女の顔はしょんぼりしていた。 え、何だその顔…。 ここで大抵男は俺の事もしかして好きなのか?なんてすぐに期待をしてしまう。 男の脳は単純だからな。 「…あの!」 「…はい。」 「…ここで会えたのもきっと何かのご縁だと思いますので良かったらまたいらして下さいね。 …美味しいお茶用意して待ってますから」 そう言って彼女は天使のように微笑んだ。 ああ…俺が彼女いなかったたらな…。
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