叫び

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満月はボクを嘲笑うかのように 高い位置から見下ろしてくる 硬いアスファルトを行き交う人々の足音 それは嘆きにも似て どこか悲しげだ 不規則なようで実に規則的な“日常”という名のつまらない歴史が 今日も繰り返される 社会という得体の知れない法則に 人々は身体も心も支配されているのだ キリストを裏切ったユダのように この枠からはみ出したい 死者の更新に混ざる “何者でもない”何かにはなりたくはない 白か黒か 混ぜてすべてを灰色に 赤か青か 混ぜてすべてを紫へ この世界を愛している だから全てを壊したい 血液もガソリンも鉱物も全て混ざって均一になれ 火薬もも消化器も水素も小便も全て混ざってゆけ 空を見上げると、灰色の雲が月を食らっていた
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