蜘蛛の糸

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「マジ‥あり得ない。」 小声で言ったつもりだった。 でも言った瞬間にまずいって気がついたんだ。 「あぁ?何があり得ないんだよ?」 美形のくせに、性格が歪んでる斎藤がこの小声を聞き逃してくれる訳がなかった。 私は、脇に汗をかきながらもこの次の一言があと一年半ある中学生活を左右するものだと瞬時に判断した。 そして、すぐに状況確認。 現在の時刻19時30分、残暑厳しい10月。 運動会の打ち上げという謎の理由で公園に集合した2年1組、男子10名、女子7名。 19時が門限という、素敵な家庭を持つ女子の一角が帰り、割りと騒がしめな連中が残っている。 (残りもんじゃない!つもり!) 今の時代は酒を飲むなんてリスクのあることはしない。SNSで拡散したら将来まで終わり。 割りとお堅い地域に住んでるだけあって、そうゆうことに聡いガキには十分成長してる私達。 んで問題はこっから。 なんでかしらないけど、松石がさっき帰宅した素敵な女子グループの一人に恋心を伝えるって言い出したからだ。 松石は、野球部でのりがよくて、運動ができて勉強はできなかったが、顔が六波羅蜜寺の空也上人像に似てると評判だ。
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