蜘蛛の糸

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「‥サンキュウ」 松石が私の方を見て親指を立てた。 松石‥私の方がサンキュウだ!!! お前が許してくれれば、全てが許される。 許されるはず‥。 この糸絶対に離さない。 イケメンの斎藤が怖い顔をして近づいてくる。(恐怖!) 斎藤は隣に来ると私の肩を叩いてきた。割りと強めに。 「お前、すげぇいい奴だな。」 「いや、当たり前じゃない?」 運動会のどの瞬間よりも緊張感があったし、どっと疲れた。「よし、じゃあ送っちゃいますわ」 ドーナツみたいに円陣を組んだクラスメイトが目をつむる。パンケーキだっけ? 松石がメッセージを送った。 松石らしい簡単な、だけどストレートな文章。 「好きです、付き合えたら嬉しいです。」 バターが溶けきるのを待つ前に、既読がついた。ほんの数秒だった。 可愛いウサギが手を×にしてウインクしたスタンプがやって来て、 松石の恋は終わった。 何故か斎藤が泣きそうになってた。 松石が斎藤と肩を組んで話してる。 あの二人?そんな仲良かったっけ? あぁ、そういえば今日のクラス対抗二人三脚の男子代表で学年トップにまでなったんだよなぁ。 そりゃ肩の組み方もナチュラル。 「松っちゃん、こんないい奴なのによぉ。 …マジあり得ねぇ。」 斎藤が振り絞るような声で言ってたのを、私は聞かないふりをした。
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