こいつのたった一言で…

4/6
前へ
/6ページ
次へ
ふざけんな。 ふざけんな!ふざけんな!ふざけんな!! 「帰る」 「…ぇ…?」 真二に、手首を掴まれたが、オレは、直ぐに振りほどいた。 「馬鹿にするのも、大概にしろよ」 真二にとっちゃ、ただ単にオレを黙らせるための…言うこと聞かせるためのキス…   オレの気持ちを何だと思ってんだ… 「もう頼むから、弄ぶのは、止めてくれ」 「隼斗も、オレの事が好きだったんじゃないの?」 「…は?…な…何言ってんだよ…バカじゃねぇの?」   気づかれた?! 気づかれた! オレの気持ち_、 イヤ…気づいてた? とっくに気づいてて、オレの反応見て、楽しんでる?! 「ふざけんなよ!オレの気持ちで遊ぶな!」   「隼斗!」 再び、真二に抱きすくめられた。 「誰が、隼斗の気持ちで遊ぶかよ! ちゃんと、オレの言葉聞いてた? オレは、『隼斗も』って、言った。 オレだって、ずっと、お前の事が、好きだったんだ!」  …ぇ…? 「今…なんて…?」 「好きだ。だから、一緒に来て欲しい。返事は?」 ぇ…何、こいつ、さらっと言っちゃってんの? オレが、二十年間、心の奥底の金庫の中に閉まっていた言葉をいとも容易く…。 「ちょっと待ってくれ…」 「ここは、『行きます!』の、一択じゃねぇの? だから、一時間前に、告白したのに。深く、考えなくても、良いんだよ?」 「んな訳いくか!」 オレは、バリッと、真二を引き剥がした。 「ったく、こんな時まで、真面目でお堅いんだから」 「いつからなんだよ? お前、そんな素振り、全然見せなかったじゃん…。それとも、お前にとっては、それほど重い言葉じゃねぇって事か?」 「いつからなんて、覚えてないよ。気づいたら、隼斗を好きになってたし…」 「んな訳、あるか! 取っ替え引っ替え、女が絶えなかったくせしやがって」   「ぁ…ああ、あれは、全部、隼斗に告白しようとしてたコ達だよ。告白される前に、オレが阻止してたからね。いやあ、女受けする顔で良かったよ」 「何気に、ゲスい事、言ってんな」 だから、長続きしてなかったのかよ。 「オレの計画に、邪魔な奴らは、排除しなきゃね」 笑顔で言う言葉じゃねぇな。それより、 「…計画って、なんだよ?」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加