62人が本棚に入れています
本棚に追加
「他に無ければ、オレから一言、いい?」
「何だよ?」
「待たせてごめん」
「…ぇ…?」
「思ったより、時間かかっちゃって。でも、許してくれる?これでも、急いだつもりなんだ」
と、真っ直ぐにオレを見つめてきた。
それだけで、一点の曇りもない事くらい分かる。
「オレは、別に…怒って…ない…」
真二の真っ直ぐな気持ちに、まだ慣れてないオレは、どうしても、目が泳いでしまう。
それなのに、こんなオレでも、「マジで?」と、嬉しそうに満面の笑顔を向けてくれる。
「それじゃさ、隼斗の答えを聞かせて?」
ぅっ…
「行ってもいいよ……カナダ…」
「つまり?」
「ん?」
疑問符だらけの顔で、真二を見上げた。
「オレは、好きだって、言ったよ。隼斗は?」
…っ?!!!
ったく、こいつは_、
「癪だから、教えてやんね」
「えっ?!なんで?今は、隼斗が答えた後、熱く抱擁してキス_の、流れだったじゃん?」
何をバカな事言ってんだ?
「それに、親父とお袋は、了承してくれたけど、隼斗の同意を得る事が、条件だったんだ」
「んなこた知らねぇよ」
口を尖らせてる奴を見上げた_。
ん?
ちょっと待て?
「もしかして、おじさんとおばさんも知ってんのか?その…オレ達の事…」
「知ってるよ。ついでに言うなら、隼斗んちのご両親もね。オレ、もう挨拶済ませてあるから」
は?
開いた口が塞がらないとは、この事か。
オレの知らない間に、外堀を埋められていた訳ね。
「年末年始の休暇使って、そっちに行く。それまで、おとなしく待ってろ。今までの事を思えば、それぐらい待てるよな?」
「うん!それじゃ、答えは、ベッドの中で、聞かせて?」
「ばーか。」
end
最初のコメントを投稿しよう!