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窓が少ない研究施設のような建物の一室で、一人の男が大きなデスクについている。
不意に落ち着いたノックの音がして、ドアが開いた。
「失礼します」
入って来たのは黒い服を着た背の高い男だった。
デスクの男が顔を上げて応じる。
「ああ、急に呼び出して悪かったな」
「いえ。何の御用です?」
「お前に仕事を頼みたい。いいか?」
「勿論です。何をすれば良いのでしょう」
座っている男はデスクの引き出しを探って一枚の写真を取り出すと手渡した。
受け取って見た男は、人には分からない程僅かに目を細める。
「お前も知っているだろう?神崎勇という少年だ。もう時間が無い。頼んだぞ、黒矢【くろや】」
黒矢と呼ばれた男はしばらく黙って写真を見ていたが、やがて静かに目を閉じた。
「……分かりました」
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