黒き遊び

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朝、ひかりは学校への道を一人辿りながら、小さく息をついた。 空は抜けるように青く、吸い込まれそうな錯覚さえ覚えてしまう。 それは、あまりの綺麗さに痛みを感じる程だ。 ひかりがふと振り向くのと同時に、後ろからとんと背中を叩かれた。 「あれ、びっくりさせようとしたのに。おはよう、ひかり」 少し残念そうな顔をしてそう言ったのは転入して来た日に出来た友人の、白河【しらかわ】優衣【ゆい】だった。 「おはよう、優衣」 「何見てたの?」 尋ねられて再び空を見上げる。 「空、見てたの」 「空?」 「うん」 限り無く青い空を、一羽の鳥が横切った。 「空を見ていると、飛んでみたくなるの。あの空を飛んだら、自分はとても小さく感じるだろうけど。でも、飛んでみたいな。自分の居場所を、見付ける為に」 「ふうん……。ひかりって、時々不思議な事言うよね」 「え?そうかな」 優衣は少し考えた後、再び尋ねた。 「じゃあ、ひかりは居場所を探してるの?」 「…………」 ひかりは少しの間黙ってから、微笑んで目を閉じた。 「ううん、もうあるよ。……きっと」 きっと。
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